情報をデザインする。
ただ乗せただけの情報は宛名のない手紙

紙面であれWebページであれ、情報を伝えるためにページを作る時には、まずそこに載せる情報をしっかり理解し、仕分けることから始めます。
例えば、飛行機でもエンジン、燃料、座席、通信機器といったそれぞれのパーツを適材適所、デザイン・統合してはじめて機能するのと同じです。
では、情報媒体を作る時の情報の仕分けとは具体的にどうするのか、私の場合の大まかな思考プロセスをシェアしたいと思います。

最初にはっきりしておかなければいけないことは、「誰に向けて、何のために発信するのか」ということです。
情報を発信するということは、受け取ってほしい「相手」が居るはずです。
その相手の年齢、性別、どんな問題を抱え、何を求めているのか等、情報発信には必ず「ターゲット」が存在します。
ターゲットの存在しない情報発信は、宛名のない手紙を出すようなものです。
まずはターゲットをはっきりさせることから始めます。

ターゲットが決まったら、次はそこへ向けて放つ情報のデザインです。
発信は裁量が発信者自身にあるので、自由に決めて出来ますが、受け取る相手の気持ちや反応は決められません。
10の情報を発信しても1しか受け取ってもらえなければ、労力やコストの9割は無駄になるということです。
そうならないために、発信し伝えたい情報の「伝導力」を上げる必要があります。
これは言い換えれば「情報の魅力」とも言えます。
相手にスルーされない、きちんと受け取ってもらうための魅力です。
そのためには、情報を受け取る相手が欲しがっているものは何なのか、相手の目線で情報を仕分けしていくことがポイントになります。

図

相手(ターゲット)が強く求めているであろうもの、それなりに求めているであろうもの(円)に刺さっている情報が情報発信サイドが放つべき情報(三角)です。
そこからあふれた情報は、発信者の思い込み、あるいは誤解に過ぎず、相手にとっては何の魅力もない情報です。
それはテキストや写真、装飾的演出であったり、さまざまです。
相手が欲しいもの以外の余計なものが入っていると、理解の妨げになり、相手は離れていってしまいます。
こうして情報の仕分け、格付けが出来てはじめて、視覚的なデザインへ反映していきます。

では実際的にはどういうものになるのか、少々極端な例ですが具体的に見てみます。

サンプル
サンプル

上のドーナツの広告を見て、まず目に飛び込んで来たのはドーナツの写真でしょう。
ドーナツに興味がない人は、この時点で目が去っていきますが、少しでも「あ、食べたいな、美味しそう」と思った人は続けて読むはずです。
そこですぐに知ることが出来るのは、品名と、赤い文字で書かれたこのドーナツの特徴でしょう。
ここまでの一連の流れを大体2、3秒で人は認識するわけですが、このわずかな時間に気乗りしなければスルーされるでしょう。
最初の画像の「48歳の店長がひとりで焼いた」という情報はターゲットからすれば「どうでもいい」情報で役に立ちません。
そんな情報はまったく求められていないでしょう。

もう一つの画像の「新鮮なとれたて卵のみを使用」という情報は、ドーナツに興味をもった人にとってはさらにそそる、背中を押すポジティブな情報です。
ちなみに「特徴の赤い文字がもっとオレンジっぽい色だったら、このドーナツを買っただろう」という人もいないでしょう。
そんな微妙な色の差もどうでもいいことなのです。
勝負はもっと本質的な部分で決まるものです。

このように、一見すると同じように見えるひとつの情報枠の中でも、情報発信サイドが仕分けを誤ることで表現を誤り、効果のある情報とそうでないものに大きく分かれてしまいます。
写真や絵、言葉が統合されて効果的な殺し文句ならぬ「殺しコンテンツ」になっているかどうか。
時間や知恵、コストを投じるべきはどこなのか。
手作りのチラシひとつとっても使えるアイデアなので、是非参考にしてみてください。